つれづれ日記 インバウンド観光

外国人観光客が地方を変える日:僕が見たインバウンドのリアルな可能性

こんな方におすすめ

  • 外国人向けツアーや体験を企画したい個人・起業家
  • 「自分の町を変えたい」と思っているが、何から始めるか分からない人
  • 地方の観光を変えたいと思っている自治体職員・事業者

僕はここ十数年、地方で暮らしながら観光やインバウンドの現場を見てきました。
通関や貿易の仕事からスタートし、都市部から地方、離島まで、さまざまな地域の動きを肌で感じてきた中で強く思うことがあります。

それは、「地方が生き残るための最後のチャンスがインバウンドだ」ということです。

とはいえ、現場を見れば見るほど、準備がまったく整っていない。
“外国人観光客を呼びたい”とは言うものの、住民の意識、仕組み、そして発信力のどれもがまだ追いついていない。
僕自身が暮らしていた離島でも、観光の話になるたびに「まあ、誰かがやるだろう」「行政が動くんじゃないか」で終わってしまう現実を何度も見てきました。

でも、そうして他人任せにしている間にも、町は静かに衰退していく。
空き家が増え、店が閉まり、若者が出ていく。
そんな光景を、僕はこの目で何度も見てきました。

だからこそ、今回は「なぜ地方が変われないのか」「インバウンドがどんな可能性を持っているのか」──
僕自身の体験を交えながら、率直にお話ししたいと思います。


外国人観光客がもたらす“リアルなお金の力”

僕自身、東京や大阪に出るときには、3泊4日で交通費・宿泊費・食費などを合わせて10〜15万円ほど使います。
それでも国内旅行の範囲では、このくらいが平均的な出費です。

一方で、外国人観光客──特に欧米や中国の旅行者──は、一度の日本旅行で平均20万円以上を使うといわれています。
しかも、滞在期間が長く、宿泊費・交通費・体験・お土産など、使う項目がとにかく多い。
「一生に一度の日本旅行だから」と、少し高くても体験や食事にお金を惜しまない傾向があるんです。

実際、僕の地元でもインバウンド対応を始めた旅館がありましたが、外国人のお客さんが来ると、町の空気が変わりました。
タクシーが動き、飲食店が賑わい、商店街が久しぶりに明るくなる。
1組の旅行者が落とすお金は、地域経済にとってまさに“血液”のようなものです。

この経験から感じたのは、「外国人は地方の未来を支える現実的な顧客」であるということ。
観光というより“地域経済の循環”の中に、確かに彼らの存在があるのです。


ガラパゴス化した日本と、閉じた地方の構造

僕はもともと貿易・通関の現場で働いてきた人間なので、日本と海外の市場をずっと比較してきました。
正直に言えば、日本製品の“特別感”はもう昔ほどありません。
かつて「日本製は壊れない」「品質が世界一」と言われていた時代から、今や海外製品の方が安く、デザインも優れているケースが多い。

思い出すのは“ガラケー時代”です。
日本だけが独自に進化し、世界から取り残されていったあの頃。
その構造は、地方のあり方にも重なります。

「自分たちの町は自分たちのやり方でやる」──それは誇りでもありますが、同時に閉鎖的でもある。
僕が以前住んでいた離島でも、観光客が来ない理由を“アクセスの悪さ”にして終わらせてしまう人が多かった。
でも本当の問題は、外と繋がろうとしない姿勢だったと思います。

結局、島の人たちは「外の人が来ると面倒だ」と感じる。
通訳もいない、案内看板もない。
そうして少しずつ、地域は内向きになり、気づけば高齢化と空洞化で誰もいなくなる──そんな光景をいくつも見てきました。

ガラパゴス化というのは、何も技術だけの話ではありません。
人の心が閉じてしまうことこそが、一番の問題なんです。


観光は“待つ”ビジネスではない

観光は受け身の産業だとよく言われます。
でも本当の観光ビジネスは、“待つ”だけでは成立しません。

たとえば山口県には、萩焼、武家文化、着物体験、人力車など、素晴らしい素材がたくさんあります。
でも、それを「外国人の目線」で再構築できている例は、まだ少ないと感じます。
僕が見た限りでは、“体験がある”だけで終わっている。

たとえば「着物を着て街を歩く」なら、それだけではもったいない。
ストーリーを作り、SNSで共有したくなるような演出があってこそ、体験は“価値”に変わります。
それがなければ、ただの「写真を撮った」で終わってしまう。

僕は20年以上ビジネスをしてきて痛感しているのですが、「置いてある」だけでは何も売れません。
それはオンラインでもオフラインでも同じ。
“買いたくなる仕組み”がなければ、どんなに良いものも埋もれてしまう。

観光も同じです。
訪れた外国人が「ここでしかできない」と感じ、心を動かされるような体験設計が必要。
その発想がないまま“来てくれたらいいな”では、もはや通用しない時代です。


外国人に“笑顔だけ”では通じない

僕が離島で観光客の対応をしていたとき、よく見かけた光景があります。
外国人が話しかけても、地元の人は「ニコッ」と笑って終わり。
英語がわからないから仕方ないと思っている人も多いのですが、実はそれこそが“壁”になっている。

外国人は、流暢な英語よりも「一生懸命伝えようとする姿勢」に心を打たれます。
たとえ単語が少なくても、ジェスチャーでも構わない。
“話しかけられてうれしい”という気持ちが伝わるだけで、印象はまるで違うんです。

僕自身、簡単な英語や中国語で会話しただけで、「あなたに会えてうれしい」と言ってくれたことが何度もあります。
その一言で、町の印象が変わる。
観光は「商品」ではなく「人のつながり」でできていると、心から実感しました。

つまり、地方が本当に外国人を受け入れるには、“語学力”よりも“心構え”の方が大切なんです。


地方を動かすのは“仕組み”と“覚悟”

行政の補助金や観光キャンペーンは、短期的な効果しか生みません。
僕が見てきた中でも、数ヶ月で終わるイベントや一過性のプロジェクトがほとんどでした。
本当に必要なのは、住民自身が「自分の町を変える」という主体的な意識を持つことです。

僕が離島にいた頃も、みんな「何とかしたい」と言葉では言うけれど、実際に行動する人は少なかった。
でも、たった一人でも「自分たちの手でやってみよう」と動く人がいると、町は少しずつ変わる。
その変化を何度も見てきました。

だからこそ、僕は旅行業の資格を取得しました。
自分が仕組みを作り、外国人観光客を呼び込み、地域にお金と笑顔を循環させる。
その仕組みを“山口モデル”として作りたいと思っています。

観光は単なる“見物”ではありません。
人の意識を動かし、町を生まれ変わらせる力がある。
その原動力になるのは、行政でも企業でもなく、僕たち一人ひとりです。


まとめ

地方が生き残るには、「外からの刺激」と「内からの覚悟」の両方が必要です。
外国人観光客は単なる旅行者ではなく、地域に気づきを与えてくれる存在です。
彼らの目を通して、私たちは自分たちの町の魅力を再発見することができる。

受け身ではなく、自分たちで仕組みを作り、発信し、改善していく。
そのサイクルを回せる地方こそ、次の時代に残ると思います。

僕自身、山口県から小さくても具体的なアクションを始めていきたい。
“観光”を“町の未来をつくる産業”に変える──その挑戦は、まだ始まったばかりです。

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