つれづれ日記 地方創生

「何もしない1時間」を旅行商品にできる?海・港・ローカル線で過ごす

こんな方におすすめ

  • 有名観光地が少ない地域でツアーを作りたい人
  • 山口県の海や港、ローカル線を観光に活かしたい人
  • 旅程を詰め込みすぎない観光を作りたい人

旅行商品というと、

何を見るか。

どこへ行くか。

何を体験するか。

何を食べるか。

と、予定を増やす方向で考えがちです。

30分空いていれば、もう一か所観光地を入れる。

1時間あれば、神社と道の駅を追加する。

せっかく旅行に来てもらうのだから、

「何もしない時間を作るのはもったいない」

と思ってしまいます。

 

しかし、地方旅行では逆の発想もできます。

海を見ながら1時間過ごす。

港で漁船を眺める。

ローカル線の駅で次の列車を待つ。

小さな町を歩いたあと、ベンチに座る。

特別なアクティビティはありません。

それでも、その時間が旅行者にとって印象的な体験になることがあります。

特に東京、大阪、京都などを続けて旅行してきた外国人にとって、

人が少ない。

音が少ない。

急がなくていい。

という環境そのものが、大都市とは違う価値になります。

 

山口県には、海、港町、島、単線のローカル線、小さな駅など、こうした「余白」を作りやすい場所があります。

ただし、本当に何も準備せず、

「ここで1時間自由時間です」

と言うだけでは旅行商品にはなりません。

何を見てもらうか。

どう過ごしてもらうか。

なぜこの場所なのか。

ここまで設計して初めて、「何もしない時間」が体験になります。

今回は、地方観光で「何もしない1時間」をどう商品化するか考えます。

旅行では「予定がない時間」そのものが贅沢になることがある

普段の生活では、多くの人が時間に追われています。

仕事。

移動。

連絡。

買い物。

スマートフォン。

さらに旅行へ行けば、

朝8時に出発。

10時に観光地。

12時に昼食。

13時30分に次の場所。

というように、さらに予定が増えることがあります。

旅行なのに、ずっと時計を見ている。

そんな経験は珍しくありません。

だからこそ地方旅行では、

「次の1時間は何もしなくていい」

という時間が逆に贅沢になります。

 

例えば海辺なら、

波を見る。

船を見る。

写真を撮る。

座る。

飲み物を飲む。

会話する。

これだけです。

しかし、こうした時間は大都市観光では意外と取りにくいものです。

周囲に人が多い。

次の予定がある。

移動しなければならない。

行列もある。

地方では、その逆を商品にできます。

 

ここで重要なのは、

「何もないから仕方なく休む」

ではなく、

「休むためにこの場所へ来た」

という意味付けです。

例えばツアー説明でも、

「自由時間60分」

と書くのと、

「瀬戸内海を眺めながら、何もしない1時間」

と書くのでは印象がまったく違います。

内容は似ていても、

その時間に何を感じてもらいたいか

を言葉にすることで体験価値が生まれます。

海は「見る場所」ではなく「滞在する場所」にできる

海の観光というと、

絶景スポットへ行く。

写真を撮る。

10分程度滞在する。

次へ移動する。

という形になりがちです。

しかし地方の海は、

撮影スポット

としてだけ使う必要はありません。

むしろ1時間滞在する場所として考えることができます。

 

例えば、

小さな漁港。

防波堤が見える場所。

島が見える海岸。

静かな砂浜。

ベンチのある海沿い。

こうした場所で、

「ここから先は急ぎません」

とする。

旅行者には、

コーヒーを飲む。

海を見る。

写真を撮る。

散歩する。

何もしない。

好きな過ごし方を選んでもらいます。

ガイドが同行している場合でも、1時間ずっと説明する必要はありません。

 

最初の5分だけ、

向こうに見える島。

この港で獲れる魚。

潮の満ち引き。

地域の暮らし。

について簡単に話す。

その後は少し距離を取る。

そうすると、

ガイドツアーなのに一人旅のような自由

が生まれます。

海を観光商品として考えるとき、

「何があるか」

だけではなく、

「どれくらいそこに居られるか」

を見ると、新しい使い方が見えてきます。

港では「観光施設」より生活の動きを見る

港も、何もしない時間を作りやすい場所です。

漁船が戻ってくる。

荷物を積んでいる。

ロープを整理している。

カモメがいる。

船のエンジン音が聞こえる。

潮の匂いがする。

地元では日常の光景でも、旅行者には珍しいことがあります。

特に朝の港は、観光施設として整備されていなくても、

その町が動き始める時間

を見ることができます。

 

例えば、

朝5時30分に港へ行く。

漁船を見る。

市場周辺を少し歩く。

自動販売機で温かい飲み物を買う。

海辺で20分座る。

こうした内容でも、十分に一つの体験になります。

ここで重要なのは、漁業者の作業を邪魔しないことです。

仕事場へ勝手に入る。

漁船へ近づきすぎる。

人の顔を無断で撮る。

こうしたことは避けなければなりません。

 

だからこそガイド側が、

どこまで入っていいのか。

どこから見るのか。

写真撮影はどうするのか。

を事前に理解しておく必要があります。

「何もしない観光」は、自由に見えて実は下調べが重要です。

旅行者が安全に何もしなくていいように、

ガイド側は事前にかなり考えておく。

この裏側の設計が、商品としての価値になります。

ローカル線は「移動手段」ではなく待つ時間まで商品になる

ローカル線では、都会のように数分おきに電車が来るとは限りません。

次の列車まで40分。

場合によっては1時間以上。

通常なら、

「不便」

と考えます。

しかし旅行では、この待ち時間を体験に変えることもできます。

例えば小さな無人駅で、

列車を降りる。

駅舎を見る。

周辺を少し歩く。

ベンチに座る。

次の列車を待つ。

これだけです。

駅によっては、

田んぼ。

海。

山。

住宅地。

が目の前に広がっています。

列車が来るまで、

風景を見る。

写真を撮る。

電車の音を待つ。

地元の人が一人乗ってくる。

こうした時間も、都市部ではなかなか体験できません。

 

むしろ本数の少なさを、

不便だから観光に使えない

と考えるのではなく、

「次の列車まで何もしない」

という体験へ変える。

例えば、

「無人駅で次の列車を待つ45分」

というタイトルだけでも、かなりニッチな旅行商品になります。

 

もちろん列車の遅延や運休、天候などを考える必要はあります。

トイレの有無。

周辺に店があるか。

暑さや寒さをしのげるか。

次の列車を逃した場合どうするか。

こうしたリスク管理は必要です。

しかし条件を整えれば、

ローカル線の弱点だった「待ち時間」が、そのまま観光資源になります。

「何もしない」を商品にするなら、小さな仕掛けだけ用意する

本当に1時間放置してしまえば、

旅行者によっては、

「何をすればいいんだろう」

となります。

そこで完全な自由時間ではなく、小さな選択肢だけ用意します。

例えば海なら、

・写真を1枚だけ撮る
・地元の飲み物を飲む
・気になる船を一隻探す
・スマートフォンを10分見ない
・波の音を聞く

港なら、

・漁船の名前を見る
・港で使われている道具を探す
・地域の魚について一つ知る

無人駅なら、

・次の列車まで駅周辺を歩く
・駅名標と写真を撮る
・時刻表を自分で確認する
・列車が来る音を待つ

この程度で十分です。

 

すべてをゲームにする必要はありません。

何もしない時間を壊さない程度に、

「もし何かしたければこれがあります」

という選択肢を置いておきます。

また飲み物一つでも体験は変わります。

地元のコーヒー。

お茶。

ジュース。

小さな和菓子。

地元スーパーで買った物。

これらを一つ渡し、

「この海を見ながら食べてください」

とする。

それだけで、

ただの休憩

から、

場所と食を結びつけた時間

になります。

 

料金も、大掛かりなアクティビティのように高く設定する必要はありません。

重要なのは、1時間そのものを売るというより、

その場所で1時間過ごせるように設計した体験

として販売することです。

まとめ|地方観光では「何を見るか」より「どう過ごすか」を売れる

地方観光では、

有名観光地がない。

大きな施設がない。

派手なアクティビティがない。

ということが弱点に見えることがあります。

しかし旅行者全員が、刺激の強い体験を求めているわけではありません。

静かな海を見る。

港町の朝を感じる。

無人駅で列車を待つ。

風景の中で何もしない。

こうした時間も旅の一部です。

 

むしろ観光地を次々に移動した旅行者にとっては、

予定が空いている時間

そのものが強く記憶に残ることもあります。

地方側が考えるべきなのは、

「ここには何もない」

ではありません。

「ここなら、何もしなくても気持ちよく1時間過ごせるか」

という視点です。

安全に座れる場所がある。

景色がある。

地元の生活が見える。

少し説明できる背景がある。

飲み物や食べ物を一つ添えられる。

そして急かされない。

こうした条件が揃えば、「何もしない」は十分に旅行商品になります。

 

山口県には、海、島、港町、ローカル線、無人駅など、こうした時間を作れる場所があります。

有名観光地だけをつなぐのではなく、

朝の港で30分。

海辺で1時間。

無人駅で次の列車まで45分。

そんな余白を旅程の中心にしてみる。

地方だからこそ作れる旅は、予定表を埋め尽くすことからではなく、

あえて何も入れない時間を作ること

から始まるのかもしれません。

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