こんな方におすすめ
- 中国語圏の外国人を山口県へ案内したい人
- 山口県でインバウンド観光に関わりたい人
- 外国人向けの個人ガイドやツアーを作りたい人
中国語圏から来た旅行者を山口県へ案内するとしたら、何を見せればいいのか。
これは私自身、山口県で外国人旅行者を案内する立場として非常に興味のあるテーマです。
山口県には、
錦帯橋。
秋吉台・秋芳洞。
角島大橋。
元乃隅神社。
萩。
下関。
など、分かりやすい観光地があります。
実際、山口県公式観光サイトでも、角島大橋、元乃隅神社、秋吉台、秋芳洞、青海島、周南工場夜景などが
代表的な観光素材として紹介されています。
もちろん、初めて山口県へ来た外国人なら、こうした場所は見せたいです。
しかし、私が中国語圏の旅行者を実際に案内するとしたら、
有名観光地だけを朝から晩まで回るツアーにはしない
と思います。
なぜなら、東京や大阪、京都ではなく、わざわざ山口県まで来てもらうのであれば、
「ここでしか見られない有名スポット」+「日本人には普通すぎる地方の日常」
の両方を体験してもらった方が面白いと思うからです。
JNTOも現在、地方誘客において単に場所を紹介するだけでなく、外国人旅行者が参加できる
「体験型観光コンテンツ」の発信を進めています。
今回は、中国語を使いながら山口県を案内するなら、私なら何を見せたいか。
自分なりに考えてみます。
まず「分かりやすく凄い景色」を見せたい
地方観光だからといって、
最初から、
「田舎道を歩きましょう」
だけでは少し弱いと思います。
特に山口県へ初めて来る人なら、
一目見ただけで「来てよかった」と思える場所
を一つは入れたいです。
候補としては、
- 角島大橋
- 元乃隅神社
- 秋吉台
- 秋芳洞
- 錦帯橋
などです。
このあたりは写真でも伝わりやすい。
SNSにも載せやすい。
「山口県へ行ってきた」
という分かりやすい記憶にもなります。
特に元乃隅神社の赤い鳥居と日本海の組み合わせは、説明がなくても非常に日本らしい景色です。
角島大橋も、
海。
橋。
島。
という非常に分かりやすい絶景です。
私はインバウンド観光では、
最初に分かりやすい感動を一つ作る
ことは大切だと思っています。
ただし、それだけで終わらせません。
「日本人の日常」を必ず入れる
ここからが私ならではの案内です。
中国語圏の旅行者に山口県を見せるなら、
私は、
山口県民にとって普通の景色
をかなり入れたいと思っています。
例えば、
田舎の駅。
単線。
ローカル列車。
港。
住宅街。
地元スーパー。
道の駅。
小さな商店。
海沿いの道路。
こういった場所です。
日本人からすると、
「そんなものを外国人に見せてどうするの?」
と思うかもしれません。
しかし外国人観光客は、日本へ来るまで、
東京。
新宿。
渋谷。
大阪。
京都。
富士山。
といった映像を大量に見ています。
その人に、
海の横を黄色いローカル列車が走っている。
小さな港に漁船が並んでいる。
駅員のいない駅がある。
山の中に数軒だけ家がある。
という景色を見せる。
すると、
「自分が知っていた日本とは違う日本」
を見ることができます。
私は山口県のインバウンドで、この部分はかなり重要だと思っています。
無人駅や単線は「何もない」から面白い
例えば外国人を無人駅へ連れて行く。
日本人には非常に普通です。
しかし外国人旅行者からすると、
「駅なのに誰もいない」
「電車が1時間に数本しかない」
「改札がない」
といったこと自体が、新しい体験になる可能性があります。
そこへ列車が入ってくる。
数人だけ乗り降りする。
列車が去る。
また静かになる。
こういう時間は、
東京ではほとんど体験できません。
私は、
山口県の「静けさ」そのものを観光商品にできる
と思っています。
観光というと、
何かを見せる。
何かを体験させる。
と考えがちです。
しかし、
「何も起こらない時間」
にも価値があります。
特に大都市を何日も旅行してきた人にとって、
静かな場所で30分過ごすこと自体が休息になります。
港町や漁港を歩いてもらいたい
私なら中国語圏の旅行者を、
港町へも連れて行きたいです。
山口県は海との距離が近い地域が多くあります。
有名な観光港だけではなく、
小さな漁港。
漁船。
防波堤。
海沿いの住宅。
魚屋。
こうした景色です。
可能なら朝も面白いと思います。
例えば、
朝5時~6時の港。
観光施設はまだ開いていない。
旅行者もほとんどいない。
しかし地元では一日が始まっています。
漁船。
魚。
作業している人。
静かな海。
朝日。
これはかなり日本の日常に近い体験です。
私は、
「観光客向けに作られた日本」
だけではなく、
地元の人が普通に生活している日本
を見せるツアーが好きです。
もちろん漁港などは作業場所でもあるので、立入禁止区域や仕事の邪魔にならない範囲で案内することが前提です。
地元スーパーはかなり面白いと思う
私なら地元スーパーにも入ります。
これも日本人からすると、
「スーパー?」
と思うかもしれません。
しかし海外旅行をしたとき、私は現地のスーパーを見るのが結構好きです。
なぜなら、
その国の人が本当に食べているものが分かるからです。
山口県なら、
刺身。
魚。
惣菜。
蒲鉾。
調味料。
地元のお菓子。
地酒。
弁当。
などを見ることができます。
例えば中国語で、
「これは何ですか?」
と聞かれたら説明する。
これは観光ガイドとして非常に面白い時間になります。
有名なお土産店で、
「これは山口県のお土産です」
と説明するだけではありません。
山口県民が本当に買っているもの
を見せられます。
そこで一人500円、1000円くらい自由に買ってもらって、
後で一緒に食べる。
これだけでも小さな体験になります。
中国語圏の旅行者には「漢字」も面白い材料になる
中国語圏の旅行者を案内する場合、英語圏の旅行者とは少し違う面白さがあります。
それが、
漢字
です。
日本語と中国語では共通する漢字が多くあります。
しかし意味が同じとは限りません。
例えば駅。
道路標識。
店。
商品。
お寺。
神社。
地名。
旅行中に漢字が大量に出てきます。
そこで、
「中国語ではこの漢字をこういう意味で使います」
「日本語ではこう読みます」
という話ができます。
これは中国語圏の旅行者だからこそ成立しやすいコミュニケーションです。
観光名所そのものだけではなく、
日本語と中国語の漢字文化の違い
まで旅行コンテンツにできます。
私は中国語が使えるガイドなら、この部分はかなり生かしたいと思います。
食事は「有名店」だけでなく地方の普通の店へ
外国人を案内するとき、
どうしても、
有名店。
高級店。
口コミの多い店。
を選びたくなります。
もちろんそれもいいと思います。
しかし私なら一食くらいは、
地元の人が普通に行く店
を入れたいです。
例えば、
うどん。
ラーメン。
定食。
居酒屋。
小さな食堂。
回転寿司。
こういうところです。
外国人旅行者にとっては、
注文方法。
水がセルフサービス。
食券。
箸。
調味料。
店員とのやり取り。
こうした全部が体験になります。
さらに山口県なら、
瓦そば。
ふぐ。
蒲鉾。
魚。
地酒。
など、地域らしいものも組み込めます。
私なら、
昼は地元の普通の店。
夜は山口県らしい料理と日本酒。
という組み合わせにします。
日本酒は「飲む」だけでなく背景を中国語で説明したい
山口県で外国人を案内するなら、日本酒も使いやすいコンテンツだと思います。
ただ、
「これは有名なお酒です。飲んでください」
だけでは少しもったいない。
例えば、
米。
水。
酒蔵。
日本酒の種類。
飲み方。
料理との組み合わせ。
山口県と酒の関係。
こうした話を中国語で説明する。
それだけで、
単なる飲食から文化体験へ変わります。
さらに、
「日本人はなぜ乾杯するのか」
「居酒屋ではどう注文するのか」
「おちょことグラスでは何が違うのか」
といった小さな文化も説明できます。
こういう情報は、観光地の看板だけでは分かりません。
だからこそ、
ガイドがいる意味
が生まれると思います。
萩では「歴史の暗記」より町そのものを歩く
歴史好きの旅行者なら、萩はかなり面白いと思います。
ただ私は、
人物名と年号を大量に説明するツアーにはしたくありません。
外国人旅行者にとって、日本史の人物名を一度に10人聞いても覚えるのは難しいからです。
それより、
城下町を歩く。
古い町並みを見る。
武家屋敷を見る。
寺を見る。
萩焼を見る。
そのうえで、
「なぜこの町が今も残っているのか」
「ここから日本の近代化へ関係する人たちが出てきた」
くらいから説明する。
興味を持った人に、さらに深く説明する。
私はこの方がいいと思っています。
説明を聞く観光より、まず場所を感じてもらう。
これも個人ガイドだからできることです。
周南なら「工場夜景+港」という選択肢もある
山口県の観光というと、
角島。
秋吉台。
萩。
下関。
が目立ちます。
しかし私なら、周南方面の案内も考えます。
山口県公式観光情報でも周南工場夜景は観光素材として紹介されており、徳山港や晴海親水公園など周辺エリアから工場景観を楽しめます。
ここは、
自然ではなく産業の日本
を見せられる場所です。
昼間は、
港。
ローカルな町。
スーパー。
神社。
などを回る。
夜は工場夜景。
これなら、
「山口県=田舎」
だけではありません。
自然。
生活。
産業。
の3つを一日で見せることができます。
個人的にはかなり面白い組み合わせだと思います。
笠戸島のような「小さな島」も使いたい
島も中国語圏の旅行者へ案内してみたい場所です。
有名観光地ではなくても、
橋を渡る。
海を見る。
小さな集落を見る。
歩く。
という体験があります。
山口県公式の観光パンフレットでも笠戸島は観光素材として取り上げられています。
特に私は、
島へ行って、
何か豪華なアトラクションを体験する、
という発想ではなく、
島にいる時間そのもの
を見せたいです。
海。
風。
道路。
小さな港。
人の少なさ。
これらは大都市から来た旅行者にとって、十分に非日常になる可能性があります。
道の駅も外国人旅行者には立派な観光になる
私ならドライブツアーなら道の駅にも寄ります。
日本人には珍しくありません。
しかし海外旅行者からすると、
地方の農産物。
魚。
惣菜。
お菓子。
ソフトクリーム。
地酒。
地域限定商品。
が一か所に集まっています。
つまり、
小さな地域文化の展示場
のようなものです。
しかも観光客専用施設ではなく、地元の人も利用します。
私はインバウンド観光では、
こういう、
「観光施設50%+生活50%」
くらいの場所が非常に面白いと思っています。
中国語圏だからといって全員同じツアーにはしない
ここはかなり重要です。
「中国語圏の旅行者」
と一言で言っても、
中国本土。
台湾。
香港。
シンガポールなどの華人。
では背景が違います。
さらに、
20代。
40代。
60代。
家族旅行。
一人旅。
カップル。
富裕層。
鉄道好き。
食事目的。
歴史好き。
でも全く違います。
だから私は、
「中国人はこれが好きだから、この観光地へ連れて行く」
という作り方にはしたくありません。
むしろ、
中国語で会話できることを生かして、
「日本で何を見たいですか?」
「有名観光地とローカル体験ならどちらが好きですか?」
「食べ物・自然・歴史・酒なら何に興味がありますか?」
と聞く。
その回答に合わせて変える。
中国語ができるガイドの強みは、
決められた説明を中国語に翻訳することではなく、
旅行者本人から希望を直接聞けること
だと思います。
私なら中国語圏の旅行者にこんな1日を見せる
例えば周南・下松方面で私が案内するとしたら、
朝はローカルな港。
そこから小さな町や海沿いを走る。
ローカル線や小さな駅を見る。
昼は地元の食堂。
午後は笠戸島や海沿い。
途中で地元スーパーや道の駅へ寄る。
夕方は少し休憩。
夜は地元料理と日本酒。
最後に周南工場夜景。
こういう一日です。
有名観光名所はほとんどありません。
しかし、
港。
鉄道。
島。
日本食。
スーパー。
酒。
工場。
という、
日本の地方の一日
を体験できます。
逆に初めて山口県へ来る人なら、
角島大橋や元乃隅神社など大きな絶景を一つ入れ、
その前後にローカル体験を組み合わせます。
私は、
有名観光地100%にも、マニアック100%にもしない。
このバランスが大切だと思っています。
中国語で説明できること自体を「商品」にしたい
もう一つ重要なのが、
私は中国語を単なる案内手段だけにしたくありません。
例えば、
神社へ行く。
中国語で、
鳥居。
おみくじ。
手水。
参拝方法。
について説明する。
スーパーへ行く。
中国語で、
刺身。
蒲鉾。
惣菜。
日本酒。
を説明する。
ローカル線へ乗る。
中国語で、
無人駅。
ワンマン列車。
切符の買い方。
地方交通。
について説明する。
つまり、
目の前にある日本をその場で中国語にしてあげる
ことです。
Google翻訳でも文章は訳せます。
しかし、
「なぜ日本ではこうするのか」
「地元では実際どうなのか」
まで、その場で会話できる。
ここにガイドの価値があると思います。
山口県インバウンドで私が売りたいのは「観光地」だけではない
山口県のインバウンドというと、
「もっと有名な観光地を作らなければ」
と考えがちです。
私は必ずしもそう思いません。
すでに、
角島。
元乃隅神社。
秋吉台。
秋芳洞。
錦帯橋。
萩。
といった観光資源があります。
必要なのは、
それ以外の時間をどう作るか。
だと思います。
例えば、
角島へ行く途中に地元スーパーへ寄る。
萩へ行った後に普通の居酒屋へ行く。
秋吉台の後にローカルな町を歩く。
有名スポットと日常を組み合わせる。
そうすると、
写真を撮って終わる旅行から、記憶に残る旅行へ変わる
可能性があります。
JNTOも地方の体験型コンテンツを海外旅行者へ発信する取り組みを進めています。
山口県の強みは、
観光地が少ないことではありません。
むしろ、
観光地と普通の日本との距離が近いこと
ではないかと思っています。
まとめ|中国語圏の旅行者には「山口県の日常」を見せたい
中国語圏の旅行者に山口県を案内するなら何を見せるか。
私なら、
まず一つ、
角島大橋。
元乃隅神社。
秋吉台。
錦帯橋。
などの、
分かりやすく「すごい」場所
を見せます。
しかし、その後は、
無人駅。
単線。
港町。
漁港。
地元スーパー。
道の駅。
普通の食堂。
島。
日本酒。
工場夜景。
といった、
日本人には普通すぎる山口県
を見せます。
そして中国語で、
目の前にあるものについて説明する。
旅行者本人の疑問に答える。
希望を聞いて、その場で予定を変える。
これが私の理想です。
中国語圏から日本へ来る人に、
東京や京都の小さい版を山口県で見せる必要はありません。
山口県には山口県の日本があります。
静かな海。
小さな港。
人の少ない駅。
田舎道。
地元スーパー。
日本酒。
普通に暮らしている人たち。
こうしたものを、
「観光地ではないから見せない」のではなく、「山口県だから見せる」。
私はこの発想で、中国語圏の旅行者向けの山口県ツアーを作っていきたいと思っています。