こんな方におすすめ
- 地方で外国人向けの観光コンテンツを作りたい人
- 漁港や港町を観光資源として活用できないか考えている人
- 日本人の日常そのものを外国人に体験してもらいたい人
外国人旅行者向けの観光ツアーを考えるとき、多くの人はまず有名な観光地を思い浮かべると思います。
神社。
お寺。
城。
絶景スポット。
有名な飲食店。
もちろん、こうした場所は観光の中心になります。
しかし私が地方のインバウンドについて考えるとき、もっと面白いものがあるのではないかと思うことがあります。
それが、
地元の人にとっては普通すぎる日常
です。
例えば漁港。
しかも観光客向けに整備された港ではありません。
朝5時。
まだ観光施設も店も開いていない時間帯。
漁船が動く。
魚が運ばれる。
作業する人がいる。
海が少しずつ明るくなる。
日本人、それも海沿いの地域に住んでいる人からすれば、珍しいものではないかもしれません。
しかし海外から来た旅行者にとっては、
「日本人の生活が始まる時間」を見る体験
になります。
私は山口県のような地方でインバウンドを考えるなら、
「何を見るか」だけではなく、
「何時に見るか」
も観光コンテンツになると思っています。
今回は、
朝5時の漁港は外国人向け観光になるのか
という少し変わった視点から、地方の日常を体験コンテンツにする方法を考えてみます。
朝5時だからこそ見える「観光用ではない日本」がある
漁港を昼間に訪れるのと、朝5時に訪れるのでは、同じ場所でも全く違うと思います。
昼間なら、
船が停まっている。
海がある。
防波堤がある。
という静かな景色になります。
しかし早朝なら、
漁船が戻ってくる。
荷物を降ろす。
作業する人がいる。
車が行き交う。
魚が運ばれる。
といった、
港が本来持っている機能
を見ることができます。
私はこの違いが大きいと思います。
観光地は基本的に、
「旅行者に見せるための場所」
になっています。
しかし漁港の朝は違います。
旅行者が来ても来なくても、
地元の人は仕事をしています。
つまり、
観光客のために作られていない日本
を見ることができます。
これは地方観光において、かなり価値があると思っています。
外国へ旅行したとき、
現地の人が普通に仕事へ行く。
朝ごはんを食べる。
市場で買い物をする。
子どもが学校へ行く。
こうした場面を見ると、
「この国では本当に人が暮らしているんだな」
と感じることがあります。
観光名所を見るだけでは得られない感覚です。
朝5時の漁港も同じです。
きれいな景色を見せるだけではありません。
地方の仕事と生活が動き始める瞬間を見せる。
そこに価値があると思います。
外国人にとっては「魚を見る」より仕事の流れが面白い
漁港ツアーというと、
「珍しい魚を見せよう」
と考えがちです。
もちろん魚も面白いと思います。
しかし私は、
魚そのものより、
魚がどのように生活の中へ入っていくのか
を見せた方が面白いと思っています。
例えば、
船が戻る。
魚を降ろす。
選別する。
箱へ入れる。
運ぶ。
市場へ行く。
店へ並ぶ。
という流れです。
スーパーではパックに入った刺身しか見えません。
しかし漁港へ行けば、その前の段階を見ることができます。
外国人旅行者に、
「昨日まで海を泳いでいた魚が、今日この地域の店へ並びます」
と説明する。
その後で実際にスーパーや魚屋へ行く。
さらに昼食でその地域の魚を食べる。
こうすると、
漁港見学だけで終わりません。
漁港→スーパー→食事
という一つの物語になります。
私はインバウンド向け体験では、この「つながり」が非常に大切だと思います。
単純に、
「ここが漁港です」
と見せるより、
なぜここに船があるのか。
魚はどこへ行くのか。
この町ではどんな魚を食べるのか。
まで案内する。
すると普通の漁港が、
日本の食文化を知る入口
になります。
「静けさ」も地方だから提供できる観光体験
朝5時の漁港というと、
にぎやかな市場を想像する人もいるかもしれません。
しかし地方の小さな漁港なら、必ずしも人でいっぱいではありません。
むしろ、
静かな海。
少ない車。
遠くで聞こえる船の音。
鳥の声。
少しずつ明るくなる空。
こうした時間の方が印象に残る場合もあります。
私は山口県のような地方のインバウンドでは、
「静かであること」を欠点にしない方がいい
と思っています。
東京。
大阪。
京都。
こうした場所を旅行してきた外国人は、人の多さに疲れていることもあります。
そこで山口県へ来て、
朝5時に港へ行く。
ほとんど観光客はいない。
海を見ながらゆっくり歩く。
日の出を見る。
これは十分に違う体験です。
日本人からすると、
「何も起きていない」
ように見えるかもしれません。
しかし旅行者からすると、
「誰もいない日本を見ている」
という特別感があります。
観光では、
何かをたくさん見せることが価値だと思われがちです。
しかし私は、
何もしない。
少し歩く。
音を聞く。
海を見る。
という時間も商品になると思っています。
特に地方では、
大都市と同じようにアトラクションを大量に作る必要はありません。
地方にすでにある、
空間・静けさ・時間
を体験として見せればいいのです。
漁港だけで終わらせず「日本の朝」を一つの商品にする
私なら、
「漁港を見るツアー」
という名前では売らないと思います。
少し弱いからです。
それより、
「日本の地方の朝を体験するツアー」
のようにします。
例えば、
朝5時に集合。
まだ暗いうちに漁港へ移動。
港を歩く。
漁船を見る。
日の出を見る。
その後、
地元の食堂やコンビニ、スーパーなどへ移動。
朝食。
近くの無人駅を見る。
ローカル列車が来る時間なら列車を見る。
その後、海沿いを少しドライブする。
こんな流れです。
これなら漁港は、
ツアー全体の一部になります。
テーマは、
「日本人の朝」
です。
旅行者にとって、
午前10時から観光地を回るツアーはたくさんあります。
しかし、
朝5時から始まる地方ツアーは珍しい。
それだけでも差別化できます。
例えば外国人向けに、
5:00 AM – Japanese Local Morning Experience
という商品を作る。
朝の港。
地元の朝食。
ローカル線。
町が目覚めていく景色。
これを一つにする。
私はかなり面白いと思います。
さらに、早朝に動くことで、その後の一日を普通の観光に使えるというメリットもあります。
朝5時から8時まで体験。
ホテルへ戻る。
その後、角島や秋吉台などへ行く。
こういう組み合わせもできます。
つまり、
通常の観光時間と競合しない
という点も強みです。
一番大切なのは「仕事場へ観光客を勝手に入れないこと」
一方で、漁港を観光コンテンツにする場合、ここは絶対に考えなければならないと思います。
漁港はテーマパークではありません。
人が実際に働いている場所
です。
漁船。
トラック。
フォークリフト。
水。
ロープ。
機械。
さまざまなものがあります。
早朝で暗ければ、安全面にも注意が必要です。
さらに、
作業している人を勝手に撮影する。
魚に触る。
作業場所へ入る。
邪魔になる場所で立ち止まる。
こうしたことは避けなければなりません。
私がツアーを作るなら、
まず現地のルールを確認します。
一般の人が入れる範囲。
立入禁止区域。
写真撮影の可否。
作業時間。
車の通行。
こうした部分です。
可能なら、
漁協。
漁師。
市場関係者。
地域の人。
と事前に話をして、
「どこまでなら見ても大丈夫か」
を確認したうえで案内したいです。
そして旅行者にも、
「ここは観光施設ではなく仕事場です」
と最初に説明する。
見るだけ。
邪魔をしない。
撮影するときは確認する。
これを徹底する。
インバウンド観光では、
「外国人が喜ぶか」
だけを考えてはいけません。
私は、
旅行者・地域住民・働いている人の3者が無理なく共存できること
が重要だと思っています。
観光客が増えた結果、
「外国人が来ると仕事の邪魔になる」
と思われたら、そのコンテンツは長続きしません。
逆に、
地域側にもメリットがある。
ルールを守って静かに見学する。
地域のお店で朝食を食べる。
商品を買う。
となれば、観光として続けやすくなります。
まとめ|朝5時の漁港は「日本の生活」を見せる観光になる
朝5時の漁港は観光になるのか。
私は、
十分に可能性がある
と思っています。
ただし、
「珍しい魚があります」
だけではありません。
私が面白いと思うのは、
日本の地方の一日が始まる瞬間を見せること
です。
漁船が戻る。
人が働く。
魚が運ばれる。
町が明るくなる。
列車が動き始める。
店が開く。
こうした一連の流れです。
有名観光地なら、
旅行者は自分で調べて行けます。
しかし、
朝何時に港へ行けばいいのか。
どこから見ればいいのか。
何をしているのか。
この魚はどこへ行くのか。
地元の人は朝何を食べるのか。
こうしたことは、地元を知る人が一緒にいるから分かります。
そこに個人ガイドの価値があると思います。
地方には、
「観光地がない」
のではありません。
むしろ、
観光地として名前が付いていない体験が大量に残っている
のだと思います。
朝5時の漁港も、その一つです。
豪華な施設を作らなくてもいい。
新しい観光名所を作らなくてもいい。
今そこにある、
港。
海。
仕事。
朝。
食事。
日常。
をつなげる。
私はそれだけでも、
外国人旅行者にとって十分に面白い、
「日本の朝」という体験コンテンツ
を作れると思っています。