つれづれ日記 地方創生

日本酒好きの外国人を地方へ呼ぶなら「酒蔵見学」だけでは足りない。

こんな方におすすめ

  • 日本酒をインバウンド観光に活用したい人
  • 外国人向けの個人ガイドや高付加価値ツアーを考えている人
  • 地元の居酒屋・飲食店・酒販店などを観光につなげたい人

日本酒が好きな外国人を地方へ呼ぶ。

そう考えたとき、最初に思い浮かぶのは、

酒蔵見学

ではないでしょうか。

酒蔵へ行く。

日本酒がどのように造られているか説明を聞く。

蔵の中を見る。

最後に何種類か試飲する。

もちろん、これは非常に面白い体験です。

日本酒が好きな外国人なら、一度は体験してみたいと思う人もいるでしょう。

 

しかし私は、

日本酒を地方インバウンドの大きな武器にするなら、酒蔵見学だけでは少しもったいない

と思っています。

なぜなら日本酒は、

酒蔵の中だけで完結しているものではないからです。

米。

水。

地域。

料理。

器。

居酒屋。

飲み方。

人。

季節。

こうしたものとつながっています。

 

例えば山口県へ日本酒好きの外国人が来たとして、

酒蔵へ行って30分説明を聞き、3種類試飲してホテルへ戻る。

これだけでは、

「日本酒を飲んだ旅行」

にはなっても、

「山口県で日本酒を体験した旅行」

には少し届かない気がします。

私なら、

酒蔵。

地元の食事。

町歩き。

酒屋。

スーパー。

居酒屋。

そして地元の人との会話。

までつなげます。

 

今回は、

日本酒好きの外国人を地方へ呼ぶなら、酒蔵見学以外に何を組み合わせればいいのか

について考えてみたいと思います。

日本酒は「製造工程」より先に土地と結びつける

酒蔵見学では、

米を磨く。

蒸す。

麹を作る。

発酵させる。

搾る。

といった日本酒造りについて説明してもらえます。

これは非常に興味深いです。

しかし外国人旅行者に対して、いきなり専門的な製造工程を大量に説明すると、

日本酒にかなり詳しい人以外は途中で分からなくなる可能性があります。

私なら最初に、

「なぜこの地域でこの酒が造られているのか」

から話します。

どんな場所なのか。

どんな水があるのか。

どんな米を使っているのか。

どんな食文化があるのか。

地域の人はどういう場面で酒を飲むのか。

こうした背景です。

 

例えば旅行中に、

田んぼを見る。

川を見る。

小さな町を見る。

その後で酒蔵へ行く。

すると、

「この場所で酒を造っている」

という実感が生まれます。

私はインバウンド観光では、

商品だけを説明するより、商品が生まれた風景を見せる

方が記憶に残ると思っています。

ワイン旅行でも、

ワインだけを飲むのではありません。

ブドウ畑。

土地。

気候。

食事。

景色。

まで含めて楽しみます。

 

日本酒も同じです。

酒瓶だけではなく、

その酒が生まれた地方そのもの

を見せる。

これが地方へ旅行してもらう理由になります。

日本酒は地元料理と一緒に飲んで初めて面白くなる

私なら日本酒ツアーには、

必ず食事を組み合わせます。

酒蔵で試飲すると、

日本酒そのものの違いは分かります。

しかし実際の日本人の生活では、日本酒だけを何種類も並べて味を比較することばかりではありません。

刺身。

焼き魚。

煮物。

天ぷら。

肉。

豆腐。

漬物。

さまざまな料理と一緒に飲みます。

山口県なら、

魚。

蒲鉾。

ふぐ。

瓦そば。

地域の惣菜。

なども組み合わせられます。

 

例えば、

最初に辛口の酒を飲む。

次に刺身と合わせる。

すると、

「さっき単独で飲んだときと味の印象が違う」

という体験ができます。

そこでガイドが、

「日本では日本酒だけを味わうというより、料理との組み合わせも楽しみます」

と説明する。

 

これだけで、

試飲から文化体験へ変わります。

さらに私は、

高級料理店だけにしない方が面白い

と思っています。

例えば昼は地元の定食。

夜は小さな居酒屋。

こういう組み合わせです。

外国人旅行者にとっては、

居酒屋そのものも日本文化です。

 

お通し。

乾杯。

注文方法。

徳利。

おちょこ。

店員とのやり取り。

隣のお客さん。

こうしたもの全部が体験になります。

日本酒を飲むことより、

日本人がどのように日本酒を飲んでいるのかを見る

ことの方が、旅行としては面白い場合があります。

酒屋やスーパーを入れると「日本人の日常の酒」が見える

日本酒好きの外国人がいるならば、

酒蔵だけではなく、

地元の酒屋やスーパー

にも連れて行きたいです。

これはかなり面白いと思います。

酒蔵では、

その蔵の商品を見ることができます。

一方、酒屋やスーパーへ行けば、

いろいろな蔵の酒があります。

価格帯も違います。

720ml。

一升瓶。

カップ酒。

紙パック。

季節限定。

地元限定。

いろいろあります。

 

外国人旅行者にとって、

「日本人は普段どの酒を買うのか?」

という疑問は面白いと思います。

例えば、

高級な純米大吟醸。

日常的に買える普通酒。

小さなカップ酒。

全部日本酒です。

ここで、

「日本酒=高級な伝統文化」だけにしない

ことが重要だと思います。

日本酒は文化であると同時に、普通の生活の中にある飲み物でもあります。

地元スーパーへ行き、

刺身売り場を見る。

日本酒売り場を見る。

惣菜を見る。

 

そして、

「この刺身なら、どの酒を合わせてみますか?」

と一緒に選ぶ。

旅行者自身に一本選んでもらう。

これだけでも立派な体験です。

さらに、

ラベルの漢字。

「純米」

「吟醸」

「大吟醸」

「生酒」

などを説明することもできます。

 

中国語圏の旅行者なら、漢字そのものから会話も広がります。

日本人には普通の酒売り場でも、

外国人にとっては、

日本酒文化を一度に見られる小さな博物館

のように使えると思います。

「飲む」だけではなく、人と話せる時間を作る

日本酒ツアーで一番価値が出るのは、

酒そのものより、

人との接点

だと思っています。

例えば酒蔵で、

造り手から直接話を聞く。

酒屋で、

店主におすすめを聞く。

居酒屋で、

料理人から地元の魚について聞く。

可能なら地元のお客さんとも少し話す。

こうした場面です。

 

外国人旅行者がインターネットで日本酒について調べれば、

製造方法。

精米歩合。

酒米。

日本酒度。

などの情報はいくらでも出てきます。

しかし、

「この地域の人は正月に何を飲みますか?」

「若い人も日本酒を飲みますか?」

「この酒はどんな料理と飲みますか?」

「あなた自身はどの酒が好きですか?」

という質問への答えは、

その場にいる人からしか聞けません。

ここに地方旅行の価値があります。

 

外国人向けガイドなら、

難しい日本酒知識を一方的に説明するより、

旅行者と地元の人の間に入る

ことを重視したいです。

旅行者が英語や中国語で質問する。

私が必要なら通訳する。

地元の人が答える。

また旅行者が質問する。

こうした会話です。

 

これなら、

「ガイドが日本酒について1時間講義する」

のとは全く違います。

酒をきっかけに、

人と人がつながります。

旅行から帰った後も、

「あの酒が美味しかった」

だけではなく、

「あの店のおじさんが面白かった」

という記憶が残ります。

こういう記憶の方が、本当の地方観光の強みになると思います。

酒蔵・食事・町・夜をつなげて「一日の物語」にする

最終的には酒蔵見学という単体商品ではなく、

日本酒をテーマにした一日

を商品にしたいです。

例えば、

午前。

地方の町を歩く。

米や水、地域の話をする。

昼前。

酒蔵を見学する。

日本酒の基本を知る。

少量試飲する。

昼。

地元料理と日本酒のペアリングを楽しむ。

午後。

酒屋やスーパーへ行く。

旅行者自身に酒やつまみを選んでもらう。

夕方。

港町などを歩く。

ホテルで少し休憩する。

夜。

地元の小さな居酒屋へ行く。

昼に学んだ日本酒を今度は実際の日本の飲み方で楽しむ。

こういう一日です。

 

すると、

午前中に酒蔵で覚えたことが、

夜の居酒屋でつながります。

例えば旅行者が、

「これは純米ですか?」

と自分からラベルを見る。

「昼に飲んだものと違いますね」

と言う。

こうなると、

ただ説明を聞いただけではありません。

自分で日本酒を楽しめるようになった

という体験になります。

 

ツアーの価値は、

どれだけたくさんの場所へ行ったか、

だけではないと思っています。

旅行開始時には知らなかったことが、

一日の終わりには少し分かるようになる。

それが体験です。

特に日本酒好きの外国人であれば、

酒蔵を3軒、4軒と回るより、

一つの酒蔵を入口にして、その地域の食・町・人まで深く体験する

方が満足度の高いツアーになる可能性があります。

地方に宿泊してもらう意味も、ここで生まれます。

酒を飲むので車を運転できない。

だから地方へ泊まる。

夜の居酒屋を楽しむ。

翌朝は朝食や市場へ行く。

 

これなら日本酒が、

単なる観光コンテンツではなく、

地方滞在そのものを作る理由

になります。

まとめ|日本酒を売るのではなく「日本酒がある地方の一日」を売る

日本酒好きの外国人を地方へ呼ぶなら、

酒蔵見学は非常に魅力的なコンテンツです。

ただ私は、

酒蔵だけで終わらせるのはもったいない

と思っています。

日本酒は単なる飲み物から、

地方を体験するための入口になります。

 

酒蔵を見る。

地元料理と飲む。

酒屋へ行く。

スーパーを見る。

町を歩く。

地元の人と話す。

夜は居酒屋へ行く。

 

そしてガイドとして、

「この酒は精米歩合が○%です」

という知識だけを伝えるのではなく、

「この地域ではこういう料理と飲みます」

「地元の人はこういう店へ行きます」

「このスーパーには普通にこういう酒が並んでいます」

という、

生活の中の日本酒

を見せたいです。

 

外国人旅行者は、日本酒一本を飲むためだけなら東京でも大阪でもできます。

有名銘柄を買うだけなら海外でもできるかもしれません。

だから地方へ来てもらうには、

その場所へ行かなければ体験できない理由

が必要です。

酒が生まれた場所を見る。

地元料理と飲む。

造った人と話す。

地元の店で買う。

夜の町で地元の人と同じように飲む。

日本酒好きの外国人を地方へ呼ぶなら、

売るのは酒蔵見学ではありません。

「日本酒がある日本の地方の一日」そのものを売る。

その方が、地方インバウンドとしてずっと面白いコンテンツになると思っています。

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